2009.06.06

考えを深める瞬間

「昔と今とでは、どちらともいいことがあるけれど、今の世界に欠けているところは、豊かになりすぎたことで、家族や友達との絆が薄くなってきていることや物の扱いがひどくなったことだと思いました」
「本はいくらでも深く読めるので、逆に浅い読みよりも深い読みの方がその本の味わい方や読み終えた印象も大きく違ってくるので、どうせなら深い読みをした方が楽しいと思いました」
「自分が読んだ本の内容をみんなに言って感想を言うと、他の人からも意見や感想を言ってもらうことができて、自分の考えも深められるんだなと思いました」

これらは、小学生の子どもたちが書いた文章です。

前回の国語の時間に、30分読書をやってもらい、その感想を短い文章にしてもらいました。そして今回は、その感想をもとに90分のディスカッションをおこないました。

まず、それぞれの子どもたちに、自分の読んだ話の内容を発表してもらい、その内容から何を得たかを話してもらいました。そして、他の子どもたちにもその子どもが発表してくれた内容を聞いて、何を感じたり思ったかを話してもらいました。

そんな彼らの感想を聞くと、共通する部分もあるし、視点が違う部分もあります。その視点の違いをもう少し掘り下げてみると、新たな共通点が発見されたりするのです。そしてさらに、そこに私が介入していきます。新たな問題提起をしていくわけです。すると子どもたちは、その考えをさらに深めていくのです。

ここに彼らの考えが、点から面に広がっていく瞬間があります。自分だけでは、広げることできない限界を他者とのかかわりの中で越えていける瞬間があるのです。このダイナミズムに子どもたちが触れることで、彼らは考えを深めることの面白さを体感するのです。

ロシアの心理学者のヴィゴツキーは、このような学習者が一人では越えられない壁を他者との関わりの中で越えることができる現象が存在することを確認して、このことを「最近接領域」と名づけました。まさに今回の授業は、ヴィゴツキーの理論を裏付けるようなものでした。

「他者とのとのかかわりの中にこそ現れる考えの深さとおもしろさ」
これからも子どもたちにどんどん感じてもらいたいと思います。

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