2010.02.17
アウラから学んだもの
アウラの卒業生である高1のHと久しぶりに話す機会がありました。Hは、中学3年間をアウラで学習し、最難関の高校を実力で合格し、現在高校生活を送っています。そんな彼女の家に、現在アウラに通う弟のことで電話したのですが、たまたま弟は留守でHと話すことになったのです。
「H、元気にやってるか?お母さんから、よく勉強してるって聞いてるけど、どうなん?」
「塾長、聞いて聞いて、うち、ほとんどの教科クラスで1番やで」
「すごいな、よくがんばってるやん。全部自分で勉強してるんやろ?」
「そうや、うちは自分で勉強してるで。他の人らは塾行ったり、家庭教師やったりしてるけど、全然大したことないわ」
「やっぱり、アウラで勉強したのが、うちにはよかったわ。特に受験勉強で、とことん自分自身を鍛えることができたわ」
Hは、私にとっても大変印象深い生徒でした。中1でアウラにやってきた彼女は、大変理解力のある知的な感じの子どもでした。ところが、アウラに来てすぐ彼女の本性が現れてきました。とにかく〈わがまま〉なのです。自分のやりたくないことは、一切やろうとしない。「しなさい」と言われれば、すぐに文句を言う。めんどうなことも、一切手をつけようとはしない。でも理解力があるので、他の生徒より早くしかも正確にできてしまう。そんなHと、私はよくぶつかっていました。怒鳴りつけたことも、何度かありました。そしていつしか私の指導の目標は、彼女の学習面に置かれるのではなく、この〈わがままさ〉をどうするかに向けられるようになりました。
Hは、学校のテストに関してはどの教科もほぼ満点をとりました。短時間の集中力は人並み外れて高いので、暗記力に優れていたのです。ただ、授業態度が悪かったので、成績は〈4〉がほとんどでした。私は、そんなHに英検の受験を勧めました。最初は嫌がっていた彼女でしたが、友達が受験することもあり、彼女も勉強を始めることにしました。
3級の受験は難なくクリアー、次の準2級も文句を言いながらも何とかクリアーしていきました。ところが次の2級の受験については、いくら彼女の能力が高いと言っても、そう簡単にはクリアーできません。Hは否応なく、地道な学習をしなければならなくなっていました。それでも、文句を言い続けるので担当講師から、「嫌なら、やめてもいい。あなたが受験したいからやってるの。英検の勉強をやめるかどうか、来週までに考えてきて」と何度も言われていました。
そんなHでしたが、3年の夏に○○高校を受験したいと言い始めるようになりました。○○高校は推薦制度もありましたが、授業態度が良くなかった彼女の成績では基準に届きません。推薦でいければ楽なのですが、実力突破ということになるとかなりの学習量が必要となってきます。私はそれでも受験したいのかと何度も問いましたが、彼女は受験したいと言い張ります。そんな彼女の意志を受けて私たちも腹を括ることにしました。
私は、まず彼女に○○高校の過去問をやらせました。私の担当する数学は15点、ほとんどできない状態といっても過言ではありません。今まで学校のテストでは、100点近い点数しかとったことないHにとっては、屈辱的な状況です。それから私は、彼女に最難関レベルの問題集を与え、それを1ヶ月で仕上げるような学習計画を立て取り組んでもらいました。アウラでも毎日1日4時間の学習、家に帰ってからもやらないと終わりません。しかも当時の彼女にとっては、どう解いていいのかわからない問題ばかりです。1問解くのに1時間も悪戦苦闘するようなこともしばしばありました。そんな彼女に、私はまず解説をじっくり読むこと、自分の解けなかった問題を弱点ノートにまとめることを徹底させました。かつてのHなら「めんどう」の一言で済ませてしまうようなことです。そして気の強いHは、泣きながら問題と格闘しながらも、次第に力をつけていったのです。
Hは力をつけると同時に、素直な生徒へと変容していきました。
「いい子になったね」私が、そう言うと「いい子になったやろ」って笑うHがそこにいました。受験の前日、私はHにこう話しました。
「本当によくがんばった。Hは、できないことの悔しさを地道な努力で乗り越えてがんばった。この取組は、以前のHには決してできなかったことだ。今回の経験は、きっとHの一生の財産になるはずや。そしてここまでが、僕の仕事やったかもしれない。明日は、精一杯やってこい」
「がんばってくるわ」
Hはそう言い残して、家に帰って行きました。そしてHは、見事志望校に合格したのです。高校へ入学しアウラを去ったHに私は、しばらく会わなかったのですが、電話で彼女が、アウラでの経験が今の自分を支えていると語った時、私は本当によかったとしみじみ感じました。
アウラで彼女が学んだもの、それは単に成績を上げることではなく、志望校に合格することでもありませんでした。それを証明するものは、今の彼女の生活の中にあるのです。
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